債務整理のメリット、デメリット
いくつかの金融機関からお金を借りた結果、「返済が苦しい」「今の状況をなんとかしたい」「取り立てから逃れたい」…そんな状態にある方の、最後の砦が「債務整理」です。
債務整理をすることで、借金の金額を減らしたり、支払いを先にすることが可能になります。
このページでは、債務整理の手続きとそれらのメリット・デメリットを紹介します。
債務整理4つの方法
「任意整理」「個人民事再生」「特定調停」「自己破産」の4種類です。
それぞれの特徴については、「債務整理の方法」で解説していますので、今回は、それぞれのメリット・デメリットについて解説しましょう。
債務整理はどれを選んだらいい?
任意整理 | 個人民事再生 | 特定調停 | 自己破産 | |
交渉者 | 弁護士 司法書士 |
弁護士 司法書士 |
自分 | 弁護士 司法書士 |
費用 | 着手: 3万円程 報酬: 10%程度 |
着手: 30万円程度 報酬: 20万円程度 |
― |
着手: 30万円程度 報酬: 20万程度 |
結果 | 利息カット + 過払い金 (あれば) |
5分の1程度 に減額 |
利息カット + 過払い金 (あれば) |
支払い免除 |
備考 | ハードル が低い |
安定した収入 が必要 |
自身で 手続きを行う |
財産売却あり |
選ぶ基準は自分の収入と借金額
考えるべきは任意整理>個人民事再生>自己破産 の順番です。特定調停もありますが、こちらは負担が大きいためおすすめできません。
まずは専門家が債権者と交渉してくれてハードルが低い任意整理から考えるべきでしょう。もし借入金額が大きいようであれば、裁判所に申し立てを行う個人民事再生に切り替えることをおすすめします。
自己破産は最後の手段です。支払いが免除されるという大きいメリットの一方で、一定期間は特定の職業に就けなかったり財産を手放す必要が発生します。
債務整理のメリット
債務整理のどの方法を取ったとしても、まず変わるのは負担が大きく減ることです。
債務整理は「借金をチャラにする」ことではなく、無理のない範囲で返済するようにできる手続きです。「毎月返済しても元金が減らず、自転車操業状態」「借入額が年収の1/3以上になっている」といった場合は、債務整理を考えるといいでしょう。
以下は、それぞれの債務整理におけるメリットです
- 任意整理のメリット
- 利息制限法以上の金利(15~20%以上)を支払っていれば、同時に過払い請求もできるので、支払う残金が一気に減る可能性があります。財産が処分される危険も少なく、弁護士が直接交渉してくれるのでリスクやデメリットが少ないと言えます。
- 個人民事再生のメリット
- この方法では、借入した元金をかなり減額することができます。そして、減額された借金を3~5年かけて返済していきます。手続き開始後の利息は支払う必要もなくなります。また、「住宅ローン特別条項」を使えばマイホームを手放す必要もありませんし、職業制限にもかかりません。
- 特定調停のメリット
- 弁護士に依頼せずに、自分で行うことができます。その分、費用も安価です。裁判所を通じて手続きします。
- 自己破産のメリット
- 免責が確定すると、借金が免除になります。一方で高価な財産を手放す必要はあります。
債務整理のデメリット
もちろん、債務整理にはデメリットもあります。
それぞれにデメリットは違ってきますが、すべてに共通しているのは、個人信用情報に登録されるからです。「今後、7年から10年はローンが借りられなくなること」です(任意整理は5年)。いわゆるブラックリストです。 なお、登録されるのは本人のみであり、家族に影響はありません。
- 任意整理のデメリット
- 原則として住宅ローンは整理できません。保証人の保証義務は残りますので、請求がそちらに行く可能性もあります。またハードルが低い分、減額金額はほかの方法と比較して低いといわれています。
- 個人民事再生のデメリット
- 3~5年かけて返済するため、安定的な収入がないと利用できません。住宅ローン以外の借入が5,000万円を超えていてもできません。
- 特定調停のデメリット
- 債権者と和解できなければ成立しません。また、3年ほどで返済できる見込みがないと調停が成立しません。調停成立後に返済が遅れると直ぐに法的処置を取られてしまう可能性があります。書類作成なども自身で行うため、時間がかかります。
- 自己破産のデメリット
- 浪費やギャンブルの費用は認められません。99万円までの現金以外の資産はなくなります。破産開始決定から免責決定までの期間は一部の職業(弁護士・司法書士・金融業・警備員など)には就けなくなります。
債務整理をした後は?
債務整理をすればとりあえず当面の危機からは逃れることができます。取り立てもなくなりますし、借入金や返済額はかなり減っているかもしれません。自己破産をしていれば、借金がまったく無くなります。さらに、そのまま10年経てば、また借入をすることができます。
また、債務整理をしたとしても、ほかの人にバレことはほぼありません。官報に載ることはありますが、一般人が見ることはまずないでしょう。ブラックリストなども、あくまでもその機関内での情報です。
とはいえ、債務整理後はしっかりと周りに迷惑をかけないよう、頑張ってください。
債務整理は弁護士や司法書士に依頼を
債務整理には、特定調停のように自分でできるものもありますが、やはり弁護士や司法書士に依頼する方が良いです。個人が書類を作成したり交渉するには限界があります。思うように債務を整理することは難しいでしょう。
ここで説明しているように、債務整理にはメリットと同時にデメリットもあります。簡単に債務整理を依頼せず、まずは自分でどの方法を取るかじっくり考えてから依頼してください。また、メリットだけでなく、債務整理のデメリットもきちんと説明してくれる法律家の方が安心です。